haru0331kun’s blog

主にインフラや地方自治について書きます。

大都市の実力について

 最近思うことは、日本人は自分の住む都市の実力を知らなさすぎで、インフラの規模も都市規模の割に少なすぎるということである。

 関東の人口を見ていこう。東京単体の人口は1400万人弱であるが、そこに埼玉、神奈川、千葉など周辺の地域を加えると3700万人近い人口になる。これは3100万人のジャカルタ都市圏を抜き、堂々の世界一位の人口である。この事実を関東に住む人は知っているのだろうか。

 また、東京に住むのに慣れるとほかの都市を田舎だと思ってしまうことが多いが、多くの人は地方都市の人口を知っているのだろうか。関西圏の人口は1900万人弱、これはニューヨーク都市圏とほぼ等しい。名古屋を中心とした中京圏は1000万人強で、パリ都市圏より少し少ない程度の人口がいる。そのほか福岡や札幌などの人口も多い。東京の人口を当然と思うからなかなか見えないが、日本の他の都市は世界的に見たら十分すぎるくらいの大都市なのである。

 しかし、日本の都市は都市規模の割に公共インフラの規模が小さすぎる。ここで空港について挙げ、中京の例を見てみたい。空港は国内、国外の人、モノ、カネを集める重要な産業拠点であり、また国の表玄関になるため、国の偉人にちなんだ名前が付けられやすい。

 中京の主な空港はセントレアであるが、滑走路は一本しかなく、敷地面積は450haほどしかない。いくら東京や大阪に近いとはいえ、後背人口を1000万人近く抱える玄関口としての機能を果たせているのか、疑問である。ほかにも県営名古屋空港もあるが、ほとんど機能していないに等しい。
 中京圏より少し多い人口を抱えるパリはどうか。メインの空港、シャルルドール空港は滑走路4本を抱える、ヨーロッパ最大規模の空港である。その他にも4つの空港があるが、既に空港の処理能力は限界に近い。なぜほとんど同じ人口を抱える中京圏、その玄関口である貧弱なセントレアでは機能不全を起こしていないのか、不思議でしょうがない。

 次に高速道路の例を見ていきたい。日本の三大都市圏の人口を合わせると6000万人弱おり、これは世界でも有数の人口である。この三大都市圏をつなぐ道路は一昔前までは東名と名神しかなかった。近年、新東名と新名神が建設されつつあるが、一昔前まではそんな無駄な道路はいらない、という批判がとても多かった。その批判を受けてコストダウンがなされ、一部の区間では片側3車線→2車線に削られてしまった。本来この区間の道路は何個あっても足りないくらいであるのだが、闇雲にこの道路の建設を批判していた人は三大都市圏の人口をきちんと知っていたのか、疑問である。この都市圏の人口や実力をきちんと知っている人が多かったならば、このような批判は少なかっただろう。
 まとめると、日本人は東京を中心に見がちで、自分の住む都市を過小評価しすぎる傾向がある。しかし、きちんとデータを見れば日本の多くの都市は世界的な大都市であることがわかる。過小評価しすぎるせいでその都市の持つポテンシャルなどをつぶしていることが多いのではないか。このことは道州制にもつながる話であるが、いずれまた書こうと思う。