haru0331kun’s blog

主にインフラや地方自治について書きます。

大都市制度について

 

大阪都構想の結果をうけ、名古屋や横浜など各地で大都市制度を見直す機運が高まりつつある。

 

そもそも、政令指定都市制度、これはなんとも中途半端な制度である。基本的に府県の7割ほどの権限を有する。しかし、税収の大半を占める固定資産税などは徴収できないなど、大都市を経営するには機能は不十分。一方で、広域行政も行えるなど、府県の権限を一部有することから、府県との対立も起きやすい。特に大阪はその弱点が顕在化している。

 

ところで、大阪はなぜそもそも府市との対立が起きやすいのか?これは大阪の地理的な要因も関係する。

 

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大阪は香川についで2番目に県の面積が小さい。都市化は、阪和線で言えば日根野あたりまでと、都心部から40ー50キロあたりまでと、大阪市内を大きく越えて都市化が進行している。

さらに、大阪市中心部は大企業の本社や支社が集まるところであり、大阪府内から市内へ多くの人が通勤しに行くため、大阪市大阪府双方を結ぶインフラ需要がかなり大きい。また、大阪市大阪府のど真ん中に位置している。


そんな地理的な特徴の中で、大阪市大阪府、似たような権限を持つ自治体が二つ存在している。市内を超えて一つの都市である大阪、その大阪府が大阪全域にまたがるインフラ整備をしようとしたら、大阪市内を通る必要がある。

 

しかしもしそこで大阪市財政赤字だから嫌だ、と却下すればインフラ整備は滞るし、実際にその状態が続いてきた。例としてなにわ筋線や淀川左岸線などなど…さらに、大阪市は公選区長が存在しないため、住民サービスも一人の市長が260万人を相手にしないといけない。当然裁き切れるわけはなく、その結果、西成などのスラム街は改善されることなく、放置されてきた。

 

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同じく23区を超え、八王子あたりまで都市化が進行している東京。広域行政は東京都、基礎行政は23区+郊外の都市が行うように、分離されている。インフラ整備も基本的には東京都知事がゴーサインを出せばどんどん進んでいく。

 

例として90年代以降に開業した路線でも南北線大江戸線つくばエクスプレス副都心線京葉線とこれだけある。行政機構がしっかりしているため、左翼知事を選ばない限り、どの知事でもそこそこの仕事は遂行できる。


以上の特徴を踏まえ、大阪は、大阪府大阪市を合併する、大阪都構想を提案してきた。


では、この都構想を全ての都市に当てはめるべきなのか?

俺はそうではないと思う。政令指定都市の権限を逆に強める特別自治市構想もあるし、地理的な特徴によってどちらが良いかを選ぶべきだとは思っている。

 

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例えば京都市京都市ははっきり言って、京都市とそれ以外の田舎。だからこそ京都市長京都府知事はあまり仕事内容が被らないし、役割分担もしやすい。京都府京都市の移動需要は大阪府と市の移動需要に比べても大きくはないため、別に両者が対立してインフラ整備が滞っても、大阪ほどの影響は出ない。

 

だからこそ京都市なんかは、逆に特別自治市制度を活用すべきなんではないかと思う。固定資産税を取れるようになったりすれば、京都の財政難も少しは解消するのではないだろうか。

神戸市と兵庫県とかも似たような感じではないかな。


ただ、今の政令指定都市で問題と言えるのは、公選区長を置いていない点。政令指定都市の市長が広域行政から住民サービスまで全てやらなければいけなく、仕事量が膨大である。特別自治市をやるにせよ、都構想をやるにせよ、公選区長は設置し、広域行政と基礎行政の分離は行うべきだと考えている。

 

追記
特別自治市を採用した場合の二重行政はどうなんだろうとはたまに思う。